インフルエンザの予防接種のシーズンです。
接種後に、
「今日、入浴して大丈夫ですよ」
「注射した箇所は揉まないでください(軽く揉んでください)」
と説明しておりますが、
「接種後は、よく揉むんですよね!」「昔は『注射した日はお風呂に入っちゃいけない』、『注射したとこはよく揉んでください』と言われていました。どうして変わったんでしょうか」
と質問を受けます。
「入浴してはいけなかったころの理由として、昔の日本の家屋に風呂がなく、共同浴場に行っていたことが挙げられます。衛生上の問題で、接種部位から細菌が入ることを心配されていたようです。その名残で、その後も入浴を控えるよう言われていたのですが、しばらく前からその心配がないと判断され、入浴しても良いとなりました」
インフルエンザ予防接種ガイドライン 平成13年11月(平成15年9月改編)にも
「予防接種当日の入浴は差し支えない。接種後1時間を経過すれば、入浴は差し支えないと考えられる」
と書かれてあります。
次に、注射した箇所は揉まないか、軽く揉む程度って言われるようになった理由ですが、同ガイドラインの中に
「注射後は接種部位を清潔なアルコール綿で押さえる。接種直後に同部位を液が漏れ出ないように注意しながら数回揉む。この時点であまり強く揉むと皮下出血を来すこともあるので、特に血管の脆弱な高齢者や出血傾向のある被接種者ではこの点注意を要する」
との記載があります。
強く揉むと皮下出血の危険があること、また破れた血管からワクチンが急速に拡がって、腫れやしこり、さらにはアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)の起こる可能性が考えられます。
以上の理由から、当院では、「注射した箇所は揉まないでください(軽く揉んでください)」と指導しております。