ファロー四徴症

ファロー四徴症

概要:ファロー四徴症は、チアノーゼ性心疾患の代表である。
•心室中隔欠損
•肺動脈狭窄
•大動脈右室騎乗
•右室肥大
の4つの奇形を合併している疾患である。上記の奇形により全身に送られる動脈血に血中二酸化炭素濃度の高い静脈血が増加する(うっ血)ため、チアノーゼを起こす。主に出産直後よりチアノーゼを起こし、全身の皮膚が青く(浅黒く)見える子供をBlue Babyと呼ぶ。
肺動脈狭窄が閉鎖に至った場合、極型ファロー四徴症といわれる。

病因•病態生理•発生機序
左右の心室では、右心室よりも左心室が高圧なので、心室中隔欠損孔より左右短絡(左→右シャント)が生じて肺高血圧を来たす。また、この高い圧力により、次第に右心室の心筋が肥大化する。

症状
•口唇、爪床のチアノーゼを主訴

検査と診断
•胸部レントゲン:木靴型の心陰影(右室肥大による左室心尖部の挙上と肺動脈狭窄による左第二弓の消失によるもの、肺血管陰影は減少)
•心電図:右軸偏位(+150°前後)、右室肥大
•聴診:2音の単一化
•超音波:大動脈の右室側への騎乗と大きな心室中隔欠損
•心臓カテーテル検査:冠動脈の異常、肺動脈の末梢の狭窄の確認に必要

治療
薬物治療
• 低酸素発作時
酸素投与、輸液、塩酸モルヒネ(過換気を防ぐ目的)、重炭酸ナトリウム
• 発作予防
βブロッカー
根治手術
自然治癒はしないため、手術を要する。根治手術は以前はある程度の成長をまってしたが、現在では1-2歳前後の手術が一般である。
1. 姑息手術(緊急手術):肺血流増加を目的としたブレロック短絡手術等を行い、待機手術まで持たせる。体ー肺動脈短絡術(Blalock-Taussig shunt)
2. 根治手術(待機手術)
⁃ 心室中隔欠損パッチ閉鎖
⁃ 左肺動脈ー右室流出路の弁つきパッチによる再建
⁃ 短絡路の閉鎖

経過•合併症
術後は肺動脈弁閉鎖不全、右室流出路の狭窄、残存する左ー右短絡が問題になる。
中隔欠損の閉鎖で房室ブロックを起こすこともある

予後
合併症をともなわなければ、中等度の運動も可能である。
合併症をともなうと軽い運動も制限
遠隔期に肺動脈弁閉鎖不全、右室拡大、三尖弁閉鎖不全、房室伝導障害などの出現がある。

患者指導、ケアのポイント
•術前の患者指導:運動制限と感染予防
•右ー左短絡疾患であるので静脈系の細菌の侵入は心臓及び体循環への細菌の感染を引き起こすので、脳膿瘍をはじめとして重篤な合併症をともなう危険がある。
•術後は年に1回の専門医による定期検診を行うよう指導すべきである
•術後早期(1年間)は感染を予防し、感染を起こしたら、早期の治療を指導する
•制限がなければ、歩行などの軽い運動を積極的に行うように勧める