心電図勉強会

看護師3人が参加。

本日の学習内容

ペーシング治療の歴史と変遷

Hyman Pacemaker 1930
Hyman Pacemaker 1931
Electrodyne PM-65 Pacemaker Paul Zoll et al, c. 1955
Earl Bakken, December 1957
Battery-Powered Pacemaker
First Implanted Pacemaker (replica) Elmqvist/Senning, Sweden, 1958

1958年後半に植込み型植込み型ペースメーカの時代が膜を明けました。
当初バッテリーには水銀電池が用いられましたが、大きく、電池寿命も1年から2年程度と大変短く、ペースメーカの交換も頻繁であったため、ここでも感染などの問題がありました。更に大きいため、現在のように胸部植込みではなく、腹部植込みが主流でした。
この問題を解決したのは、新たな電池の登場でした。その電池は現在でも使用されているリチウム電池です。これにより、小型、超寿命となり、同時にペースメーカ電極(リード線)も進歩し、胸部植込みで経静脈リードが主流となって行きます。
水銀電池使用のペースメーカが主流だった頃、電池寿命を長くする工夫の中で原子力をバッテリーとして用いたペースメーカも開発されました。日本での臨床使用例はありませんが、海外ではアメリカを始めヨーロッパなどでも臨床使用されました。

ペースメーカー本体の基本構造

•キャビティー/ヘッダー
•IC回路
•電池:リチウムヨウ素電池

リード留置例(シングルチェンバー)

•心房リードを右心耳へ挿入
•心室リードを右室心尖部へ挿入

リード留置例(デュアルチェンバー)

心房・心室をペーシングでき生理的な徐脈治療を行える。

双極(バイポーラ:Bipolar)と単極(ユニポーラ:Unipolar)

刺激電極 ペーシングには単極刺激システムと双極刺激システムがあります。
•単極刺激では、 リード先端の電極を陰極(マイナス極)、ペースメーカー本体を陽極(プラス極)として両極間に電気を流します。
•双極刺激ではリード先端の 2つの電極間で通電します。通常は遠位極 が陰極(マイナス極)で、それより 25mm 近位に陽極(プラス極)が配置されます。

双極リードの長所
1)刺激電流が心腔内しか流れないので、骨格筋を興奮させる危険性が少ない。
2)同じ理由で横隔膜を興奮させる危険性が少ない。
3)電極間距離が25mmしかないので電磁波の影響を受けにくい。

双極リードの短所
1)リード内に2本の導線と絶縁体を納めるためにリードが太い。
2)同じ理由で、絶縁不良が発生するリスクが高く、破損した場合の修理は不可能。
3)電池の消耗が激しい。
4)刺激によるアーチファクトが小さく心電図上で判断しにくい。

基本的に は双極リードの短所が単極リードの長所、双極リードの長所が単極リードの短所です。一言でまとめれば「安くて丈夫」が謳い文句です。刺激パルスが心電図でクッキリハッキリしているのも利点です。